3月4日、経済産業省より新たな政策である「中小企業活性化パッケージ」が発表されました。コロナで大きなダメージを受けている中小企業を総合的に支援する内容で、「コロナ資金繰り支援の継続」「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」の2分野での支援策となります。

今回は「コロナ資金繰り支援の継続」について内容を見てみます。

本金融支援について、岸田首相は会見において次のように説明しています。

「融資の条件変更への対応について、担当閣僚から金融機関に要請するなど、年度末の資金需要に対応いたします。加えて、年度をまたいだ事業継続を支援するため、年度末を期限とした実質無利子・無担保での融資を6月末まで延長するとともに、事業者の返済負担を軽減するため、15年の融資期間を20年に延長いたします。あわせて、事業者の財務基盤を強化するため、資本性劣後ローンによる支援についても来年度末まで延長いたします。」

「コロナ資金繰り支援の継続」としては次の3項目の政策が行われます
①セーフティネット保証4号の期限延長
② 政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の継続等
③ 新型コロナ対策資本性劣後ローン(日本政策金融公庫)

以下、順に内容を見ていきます。


経済産業省「中小企業活性化パッケージ(関連施策集)」より
〔対応〕保証の指定期間の期限を2022年3月1日⇒6月1日まで延長。
 セーフティネット保証第4号は、コロナによる影響で売上が大きく落ち込んだ事業者を対象とした保証制度です。保証協会が金融機関からの借入の100%を保証することにより、金融機関は事業者へ融資しやすくなります。


経済産業省「中小企業活性化パッケージ(関連施策集)」より
〔対応〕期限を2022年3月末⇒2022年6月末まで延長
〔対応〕運転資金の融資期間を最長15年⇒20年に延長
 運転資金で期間20年というのは、思い切った支援策です。

【各制度のホームページ】
新型コロナウイルス感染症特別貸付|日本政策金融公庫(中小企業)
新型コロナウイルス感染症特別貸付|日本政策金融公庫(国民事業)
商工中金の危機対応業務


経済産業省「中小企業活性化パッケージ(関連施策集)」より
〔対応〕取り扱いを来年度末まで延長
 資本性劣後ローンは、企業の決算書では「長期借入金」として負債に含まれますが、金融機関がその企業の決算書を評価する場合には「自己資本」として評価するというものです。そのため自己資本比率が低い企業は、本ローンを導入することで金融機関からの評価をあげることができます。
 一般の企業は融資対象として、「③事業計画を策定し、民間金融機関等による協調支援体制が構築されている」の申し込みとなりますが、これに代えて「認定経営革新等支援機関(認定を受けている税理士等)の支援を受けて事業計画を策定」している場合でも申し込み可能となります。本借入と協調で他の金融機関からの借入が難しい場合は、この方法も検討してみるとよいでしょう。
 本借入は、期限一括返済が特徴で、期日までは利払いのみとなりますので、長期間元金の返済負担がありません。

【本制度のホームページ】
新型コロナ対策資本性劣後ローン(中小企業事業)
新型コロナ対策資本性劣後ローン(国民生活事業)

(2022.3.9)