4月7日、株式会社マイナビと株式会社日本経済新聞社が共同で調査した「マイナビ・日経 2023 年卒大学生就職企業人気ランキング」結果が発表されました。株式会社マイナビでは1978 年(1979 年卒)より毎年調査を実施しており、恒例の調査としてマスコミでも報道され、多くの人から関心を持たれている調査です。。

【2023年卒ランキング】

今回は、文系のランキングについてみてみます。上位10社は次の通りです

2023年卒大学生就職企業人気ランキング(文系総合)」

 

「マイナビ・日経 2023 年卒大学生就職企業人気ランキング」より

ソニーグループの躍進が目立ちます。ソニーグループは2022年3月期の連結営業利益が1兆円を超える業績予想を発表しており、日本の製造業の中では業績の好調さが目立っています。35期連続の増収増益を達成しているニトリも着実に人気をあげ3位となりました。

金融業界からは、保険会社が1位、4位、8位と3社ランキングし、安定した人気を示しています。

【10年前(2013年卒)のランキング】

 2020年からのコロナ流行により、世の中は大きく変化しました。人気企業の顔ぶれも大きく変化していることが予想されます。ここでは10年前の2013年ランキングをみてみます。

2013 年卒大学生就職企業人気ランキング(文系総合)

「2013 年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング調査結果」より

2023年には、2013年の上位10社はすべて入れ替わっています。目立つのが「旅行」「航空」「娯楽」など観光・旅客に関する会社です。この観光・旅客関連業界の人気は、コロナ前まで傾向が続いていました。また4位の電通は非常に人気の高い企業でしたが、2015年の過労自殺問題が発生したことで、その後就職人気度も大きく影響を受けました。

金融業界からは「三菱東京UFJ銀行」が1社のみとなっています。

【会社を選択した理由】

本調査では、発表資料の中にそれぞれの会社を選択した理由についても調査結果を載せています。

(選択理由)次の項目から選択

「安定している」「業界上位である」「将来性がある」「給与・待遇が良い」「技術力が高い」「商品企画力がある」「国際的な仕事ができる」「社会的貢献度が高い」「社風が良い」「実力主義・能力主義である」「経営者が魅力的である」「広告・宣伝がうまい」「環境問題に前向きである」「企業イメージが良い」「休日・休暇が多い」「やりたい仕事ができそう」「文化活動に積極的」「福利厚生制度が充実している」

上記選択項目から最も多い回答は各社次のようになります。

「選社理由 最も多い回答(2013年卒・2023年卒)」

2013と2023 年卒「マイナビ大学生就職企業人気ランキング調査結果」より作成

2013年卒では「やりたい仕事ができそう」が上位を占めていましたが、2023年卒では「安定している」が上位を占めるようになっています。コロナ禍で将来が一層不透明になり、安定志向になってきているのかもしれません。

今後もデジタル化の進展など、産業・社会構造は大きく、かつスピーディーに変化していきます。これから就職する人たちは、70歳まで働くのが当たり前になるでしょうが、今現在「安定している」という会社でも、10年先はどうなっているかは誰も分かりません。

入社企業の選択が難しくなってきていると思いますし、社会人となった後のキャリア形成支援が一層求められる時代となっています。

(2022.4.11)