前回、コロナ禍での道内貸出金残高の推移について取り上げ、銀行+信金+信組の3業態合計で2年間に約1兆2,000億円の貸出金が増加していることを確認しました。(記事「コロナ禍での道内貸出金の状況~増加は一段落、業態による違いも」

【信用保証協会の特別保証】

コロナ禍での貸出は、スムーズに資金供給が行われるように国の全面的なバックアップが行われており、その大きな施策として保証協会による特別保証の活用が行われました。

貸出に当たり、保証協会の保証がつくことにより、銀行側にとってのリスクが大きく削減され、審査・貸出の実行がスムーズに行われました。

それでは信用保証協会の保証残高はどのように推移したでしょうか。

「北海道信用保証協会」の保証残高をみてみますと、この2年間で9,590億円の大幅増加で、2021年12月期の残高は、2019年12月期残高の2.4倍の数字に達しています。

銀行等の貸出金増加分11,962億円の約8割の水準であり、貸出金増加額のほとんどが保証協会付きで貸出が行われたことがわかります。

〔北海道信用保証協会保証残高と銀行等貸出金残高〕 (単位:億円)

北海道信用保証協会「統計資料」・北海道財務局「金融経済月報」より作成

 

【日本政策金融公庫のコロナ融資】

また、コロナ禍の金融で大きな役割を果たしたのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫です。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」、「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」等の貸出メニューにより、数多くの企業の支援を行っています。

北海道での貸出金は、この2年間で3,482億円増加し、2021年12月期残高は2019年12月期残高と比べ77%という大幅な伸びです。

銀行+信金+信組の3業態合計の約1兆2000億円の約3割に達する水準で、民間金融機関と併せて1兆5,000億円を超える資金が供給されたことになります。

〔日本政策金融公庫貸出金(北海道)〕 (単位:億円)

北海道財務局「金融経済月報」より作成

 

信用保証協会も日本政策金融公庫も公的な機関ですので、企業の倒産等により損失が発生した場合は、国民負担が発生する可能性があります。ウイズコロナ・アフターコロナの時代に、どうやって借入企業の経営を立て直し、増加した貸出金を回収していくかが金融機関に問われていくことになります。

なお、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」は令和5年3月31日まで取り扱いが延長されています。本ローンの導入によって、自己資本の比率が上昇し、金融機関からの評価が高まる効果が期待できます。

 ⇒(参照)記事「中小企業活性化パッケージ」政策~コロナ資金繰り支援継続で年度末を支える

(2022.3.22)