「クラウド会計」ソフトは、経済社会のデジタル化が進む中で、近年急速に普及が広まっています。

「クラウド会計」ソフトを活用することは、経理業務の効率化のみならず、データ経営推進に役立つなど、多くのメリットがあります。

ここでは、「2018年中小企業白書 第4章 IT利活用による労働生産性の向上」において「クラウド会計」の利点や導入効果について説明されておりますので、その内容を見てみます。

[クラウド会計の導入状況]

「財務・会計」の分野では、専用のソフトウェアは広く普及しております。財務・会計のIT導入比率は約75%と業務システムの中では高い普及率となっています。(2017年の調査)

その中で「会計ソフト(インストール型、パッケージソフト)」を利用している割合が55.3%と過半を占めています。「会計ソフト(クラウド型)」は13.9%とまだ少数ですが、ここ数年で着実にシェアを伸ばしてきています。

 

[クラウド・サービスの利点]

白書の中では、【クラウド・サービスの利点】として次のように述べています。

【クラウド・サービスの利点】

    • サーバー等の設備を自ら保有することが不要。技術者の常駐も不要。

⇒ 導入が比較的容易。

    • 初期導入コストが低い(月額数千円~、オンプレミス型なら導入で数千万円)。

⇒ 導入に失敗しても撤退が可能。

    • データ連携によっては、予約情報から売上データを生成でき、日々の決算が可能に。

⇒  経営者に「経営を考える時間」が与えられる。

⇒  日々の売上高を見ているうちに、「経営者」に脱皮する。

    • 企業間連携のツールとしては、クラウド・サービスの方がやりやすい。

 

[クラウド会計導入により得られた効果]

本調査では、効果として「経理・会計業務にかかる業務時間の削減」が断トツ1位で63.7%の企業が回答しています。ほとんどの企業で業務の効率化に役立っていることが分かります。

 

[クラウド会計の導入による月次処理の人日削減割合]

それでは、実際にどの位効率化に役立っているかについての調査です。

「1割超~2割」「2割超~3割」がどちらも約20%、平均では2.6割の削減となっております。ただ「4割超~5割」も14.9%と相当数に上がっており、企業によってさまざまな運用形態があると思いますが、最大限活用することで大きな効率化を狙うことも可能です。

 

[管理会計の取組率(会計業務での利用IT別)]

業務効率化の側面以外でも、「クラウド会計」を活用することで、経営データをリアルタイムで確認できる、どこでも端末を選ばず確認できる、経営データの分析や可視化が容易にできるなど、企業の経営判断や管理会計の面でもメリットがあります。

調査でも「クラウド会計」は「会計ソフト(インストール型、パッケージソフト)」と比べ「管理会計に取り組んでいる」割合が高くなっています。

 

白書で取り上げているように、国は企業の生産性向上施策として、クラウドを活用したデジタル化を積極的に推進しています。「クラウド会計」を導入することで、企業経営を一歩前へ進めることが可能になります。今後も「クラウド会計」について紹介していきます。

(2022.3.14)