来年(2019年)10月に消費税率を8%から10%へ引き上げることが予定されています。安倍首相は28日の経済財政諮問会議で、消費税率引き上げに向け、その影響を緩和するための経済対策を20192020年度の当初予算案に盛り込むよう経済財政担当相に具体策の検討を指示したことが報道されています。

 消費税率の5%から8%への引上げは2014(平成26)年4月に実施されました。その時点では8%から10%への引上げは2015(平成27)年10月を予定していましたが、8%への引上げ後は、引き上げによる景気へのマイナスの影響が予想外に大きかったことから10%への引上げを2017(平成29)年4月へと延期することになりました。

 2016年にはさらに引き上げ時期を201910月への延期することが決定しており、10%への引上げは当初予定からは4年間延期されていることになります。10%への引き上げ時には軽減税率制度を導入することが決定されており、企業にとってもその準備や対応が必要となり、大きな影響があります。

 今回の会議で大規模な経済対策が支持されたようですが、前回の8%への引上げ時の影響を振り返ってみます。

【GDP(国内総生産)の年率換算】

 〔表 GDPの年率換算による前年同期増減(%)〕

 

 GDPの四半期毎の年率換算で推移を見ますと次のようになり、かなりの駆け込み買いと、引き上げ後の反動があったことがわかります。

 

 

 次に消費者にとって影響の大きい、自動車と住宅の購入についてみてみます

【新車販売台数(乗用車合計(普通+小型))】

〔表 新車販売台数推移(乗用車合計(普通+小型))(前年同月比は%)〕


 
 

(日本自動車販売協会連合会資料より作成)

 増税前の2014年1~3月は前年同月比大きな伸びを示しましたが、増税後の4月以降は1年間ほど販売が低迷しています。

【新築住宅着工戸数】

 〔表 新築住宅着工戸数推移(前年同月比は%)〕

 

 

 

(国土交通省 「建築着工統計調査」より作成)

 住宅については増税の1年ほど前から前年同期比で住宅着工が増加しており、増税後はやはり1年近く着工が低迷しています。

 今後、住宅や自動車など大きな買い物の予定のある方にとっては消費税の動向は非常に気になることと思います。購入時期に関しては、今後の政府から出される増税対策の内容を充分確認して検討された方がよいでしょう。