来年10月の消費税率を引き上げに向けての議論が活発化されてきました。また税率引き上げと合わせて導入が予定されている「軽減税率制度」についても制度周知のための広報が活発に行われていますし、マスコミ等でも多く取り上げられるようになってきています。

 食料品という全ての国民の日常に深い関わりのあるもののお金に関する制度ですし、食料品に関連する企業数は全業種の中でも大きな割合を占めており、関心が高くなるのは当然だと思います。

 軽減税率の対象として8%の税率が適用されるのは、「酒類及び外食を除く飲食料品」「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」の2つが対象です。

 「酒類及び外食を除く飲食料品」については、膨大な種類の食料品が存在していますし、またどこでどうやって食事をするかということも多様化しており、対象かどうかの線引きに悩むケースが多々生じてくることが予想されます。

 国税庁では、国民への周知のために「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)を公表しており、こちらの資料により具体的なケースごとの判定が明らかにしています。また随時新たな内容を追加して、国民の疑問に答えようとしています。

〔国税庁ホームページ〕

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_03.htm

 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)(平成30年11月改訂版)により、いくつかのケースについてみてみます。

 なお、「外食」は軽減税率対象から除外されますが、「外食」について「飲食店業等を営む者が行う食事の提供」と表現しており、「飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供」をする場合は「外食」に該当するということです。

ケース 10%税率 8%税率(軽減税率)
水道水(水道水をペットボトルに入れて、人の飲用に供される「食品」として販売する場合を除く) 人の飲用又は食用に供されるものであるいわゆるミネラルウォーターなどの飲料水
ドライアイスや保冷用の氷 人の飲用又は食用に供されるものであるかき氷に用いられる氷や飲料に入れて使用される氷などの食用氷
みりん、料理酒等 みりんや料理酒が酒税法に規定する酒類に該当するもの 酒税法に規定する酒類に該当しないみりん風調味料(アルコール分が一度未満のものに限る)
ノンアルコールビールや甘酒(アルコール分が一度未満のものに限る) ノンアルコールビールや甘酒など酒税法に規定する酒類に該当しない飲料
栄養ドリンク 医薬品等(法律の規定による「医薬品」「医薬部外品」及び「再生医療等製品」)に該当するもの 医薬品等に該当しない栄養ドリンク
飲食店で料理の残りを持ち帰る場合 「食事の提供」か、「持ち帰り」かは、その飲食料品の提供等を行った時点において判定する。その場で飲食するために提供されたものは、その時点で「食事の提供」に該当

 今後も次々と新たな疑問点が出てくるでしょうし、最近においても出版社団体が書籍や雑誌を軽減税率対象とするよう訴えているという報道もあり、まだまだ実施までには紆余曲折がありそうです。