毎年、日本が国としてこれからどのように経済成長をしていくべきかについての「成長戦略」が公表されます。現在は、未来投資会議で検討を行っており、530日に今後の成長戦略の素案である「未来投資戦略2018(素案)」が公表されました。

 内容としては、自動車の自動運転の環境整備や電子政府の実現等がありますが、今回目を引いたのが、次の目標です。

 企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業を2023 年まで に20社創出

【未来戦略会議 ホームページ】

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai17/siryou4-2.pdf

資料4-2 : 「未来投資戦略2018」(素案)本文 (第2「具体的施策」) P120

 ユニコーンとは企業価値が10億ドル(日本円では約1,100億円)超の未上場企業のことで、株式上場をしていない企業でそれだけ巨額の企業価値を持つ企業は珍しいため、めったに見られない生き物であるユニコーン(一角獣)になぞらえて呼ばれています。

 現在、米国114社、中国62社あるとされており、両国ではユニコーンが独自のビジネスモデルで社会やビジネスの世界を大きく変えつつあります。

 日本では現状、メルカリと人工知能(AI)開発のプリファード・ネットワークスの2社しかありません(2018517日日経新聞による)

2016年に上場したLINEは上場時の時価総額(株式数×株価で計算)が1兆円を超えましたし、メルカリは619日上場しますが上場後の時価総額は4,000億円を超える見通しです。

 LINEやメルカリまでの規模は行かないとしても、上記目標ではビジネス上で大きな影響力を持つような企業を今後5年間で20社創出するという非常に意欲的な目標です。

 現状のままでは、米国や中国で次々と登場する新しいビジネスに、日本が飲み込まれてしまうでしょう。素案のなかでも「このままでは日本は世界の成長に取り残されるのではないか」という危機感が示されています。

 日本人は自分で事業を起こそうという“起業意欲”は世界のなかでも最も低いレベルといわれています。今後ユニコーンが次々と出てくるような世の中に変わってゆくことにより、多くの人が起業の魅力を感じられ、起業を希望する人が増えていくことを期待したいです。